ひとりぽっちのくまのこフータと老いたフクロウの物語①
くまのこフータはいつもひとりぽっち。
勉強も運動も大の苦手。みんなに笑顔で声をかけることもできないフータには1人もお
友達がいません。
「ぼくもエヴァみたいに勉強も運動もできたら絶対お友達ができるのに・・・」
クラスメイトのエヴァの周りはいつもお友達でいっぱい。ぼくと大違いだ・・・
ある夜、フータがベットの中で横になっていると突然大きな不安が襲ってきました。
「ぼくにはずっとお友達ができないかもしれない。ずっと一人ぽっちだったらどうしよ
う。何か1つでも良いところがあったらお友達ができるのに・・・神様は不公平だ!」
悲しくてポロポロ涙が止まりません。
すると、突然部屋の窓の方から物音がしてフータはビックリして振り向きました。
そこには一羽の老いたフクロウがいてフータに話しかけてきました。
「フォッフォッフォッ!何をとぼけておる。全ておまえさんの願う通りになっとるじゃ
ろうが」
勝手に部屋に入ってきて何て意地悪なことを言うフクロウなんだ💢 フータは怒りで顔
を真っ赤にして叫びました。
「何を言ってるのさ。ひとりぽっちなんてぼくが願うわけないだろ!!!」
ずっと1人で抱えていた寂しい気持ちと不安が大爆発💨
フクロウはそんなフータの怒りを気にする様子もなく尋ねました。
「そうかい。では一体おまえさんは何を願っておるんじゃ?」
「お友達が欲しいってずっとお願いしてるのにぼくには一人もお友達がいない・・・」
それを聞いたフクロウは、優しい顔で頷きながらフータに声をかけました。
「ほう、なるほど。おまえさんがずっと“お友達になって”と言っているのに誰も友達に
なってくれんというわけじゃな?それはさぞ辛かっただろうに」
そんなフクロウの言葉に、フータは“このフクロウはぼくの状況を全く分かっていな
い!”となんだかとても腹が立ってこう言いました。
「簡単に言わないでよ!何にもできないぼくが言ったって断られるに決まってるだろ!
皆の前で断られて恥ずかしい思いするに決まっているのに“お友達になって”なんて言え
るわけないじゃないか!!!💢」
フクロウはそんなフータに笑って言いました。
「ほれ、おまえさんの願う通りになっておるじゃないか。おまえさんは“断られたくな
い” “傷つきたくない” “恥をかきたくない”と願っていんじゃろ?実際、おまえさんは
そのための方法を忠実に実行していて断られも傷つきも恥もかいていない」
「・・・・え?」フータは困惑しました。
「もう一度言うぞ。全ておまえさんの願った通りになっとる。これからもずっとおまえ
さんの願い通りになるぞ。よかったじゃないか」
フータの怒りも涙もどこへやら。驚きで口はあんぐり開けっぱなし。
「えぇぇ~!!!そ、そういうこと~?!(゚ロ゚)」
フータは大慌て。一体この先どうなることやら・・・2話につづく