啓太とサンタの物語①~サンタクロースに教わった大切なこと~

ある年のクリスマス前日の夜

なかなか寝付けない少年が一人

「サンタさん、僕が頼んだカッコいいプラモデルのお願いちゃんと聞いてくれてるか

なぁ・・・んふふっ楽しみだなぁ~」

早く明日になって欲しい少年は

「早く明日になりますよーに!」

と呟いてワクワクしながらベットの中で目を閉じました。

 

・・・12年後の12月20日の夜

「あ~もう!これからどうすんの俺・・・」

17歳になった少年、佐々木啓太はベットの上に寝転がって途方に暮れていました。

周りの友達には、目指すものがちゃんとあるのに啓太には何もありません。

将来何がしたいのか全く分からない啓太は、家の天井に向かって投げやりな気持ちに

なって叫びました。

「神さま~俺は何になったら幸せになれますか~!!」

 

「もうお腹いっぱい・・・もう食べれないってば~」

その夜、啓太はと~っても美味しい夢を見てました。

すると・・・

「ちょっといつまで寝てるんですか!!到着しましたよ!」

急に大きな声で起こされます。

 「うっわ!!・・・えっ何?!」

驚いて飛び起きた、その先にいたのは・・・・

ん?サンタクロース??

さらに周りを見渡すと、

壮大に広がる丘、カラフルな色をしたたくさんの花と緑

空には虹がかかってキラキラと輝き

心地よい鳥のさえずり

見たことも無いような美しい蝶々がひらひら舞っている・・・

そこはまるで、絵本にでてくるおとぎの国のよう。

啓太があまりの美しさに呆けていると、

「さっ!こちらですよ」

と、そのサンタは啓太の後方をさして言いました。

そこには、と~っても立派なお屋敷がドドーン!!とそびえ立っています。

「・・・ちょっと俺、よく分からないんですけど、色々聞きたいことが・・・」

すると、サンタは真面目な顔をしてこう言いました。

「今はそんな事どうでもいい!ほら、こっちだよ」

サンタは、啓太の腕をぐいぐい引っ張りながら屋敷の中へと連れて行き、ある部屋のド

アの前で止まると、トントンとドアを叩き

「社長~バイトを連れてきました」

と言うではないですか。

・・・・ん?バイト?

すると、

「どうぞ、入りなさい」

と、部屋の中から年老いた優しい男の声がします。

ドアを開け、部屋の中に入ると・・・・30畳くらいの広々とした空間にクラシカルでと

ても素敵なインテリア。啓太は慣れない場所に連れてこられ、ソワソワ落ち着きまん。

すると、パソコンで何やら作業をしていたらしい老いたサンタは顔をクイッと上げ啓太

を見てにっこりと微笑みました。

「啓太くん、初めまして。株式会社ギフトのサンタクロースです。どうぞよろしく」

椅子から立ち上がり手を伸ばしてきたサンタに、啓太は恐縮しながら

「ど、どうも。佐々木啓太です」

と握手をしながらペコッとお辞儀をしました。

「で、バイトの事なんだけどね・・・」

と話し始めたサンタに、啓太は慌てて断ります。

「ちょっ、ちょっと待ってください!俺いきなりここに連れてこられて、バイトするな

んて言ってないんですけど💦」

するとサンタクロースはちょっと驚いた顔をして言いました。

「あれ、そうだったの?時給2000円、5時間で休憩とデザート付きのなかなかいいバイ

トだと思ったんだけど、ざんね・・・」

啓太は、またもや慌てて、

「いや~丁度バイトを探していたところなんですよ。宜しくお願いします!」

とサンタクロースが話し終わらないうちににっこり笑って言ったのでした。

 

さてさて、いきなり連れてこられた夢の国。啓太は一体ここで何を学ぶのでしょうか・・・・                           つづく。

先生と田中君  “君の人生はとても素晴らしい一本の道”

人生の選択に迷う少年が一人・・・・

田中「先生、ちょっといいですか?」

先生「大丈夫ですよ。どうかしましたか?田中君」

田中「将来のことについて相談したいのですが・・・」

先生「それは大切なお話ですね。いいですよ。そこの椅子にかけてください」

田中「あのですね、ぼくがゲームばかりしてるからなんですけど・・・母さんが結構うるさくて」

先生「そうですか」

田中「母さんは、今頑張って勉強して医者にでもなって欲しいと言うんですが、ぼくの成績でも医者は目指せるんでしょうか?」

先生「ほう。なるほど。田中君はお医者さんになりたいのですね?」

田中「なりたいというか・・・・」

先生「田中君、ぼくは素晴らしい職業だと思いますよ。何といっても人の命を救う仕事

ですからね。とても立派な夢だと思います。・・・確かに勉強は大変な努力を要するで

しょうが、不可能ではありません。いいですか、田中君。ゲームなんかしている暇はな

いですよ!頑張っていきましょう。・・・まあ知り合いの医者が、しばらくの間は看護

師さんより給料が低くて驚いたと言ってましたが・・・でもしばらく働けば高収入の職

業ですからね!知り合いも言ってましたよ。休みは全くと言っていいほどないが、とて

もやりがいのある仕事だと。なんせ、命に関わる仕事ですからね。あとこんなことも

言ってましたね。患者さんや家族に「なんでよくならないんですか!!」と詰め寄られ

ることもあるけども、とてもやりがいのある仕事だと。田中君、ぼくは君を応援しますよ!」

田中「・・・先生。別の案なんですけど」

先生「あれ?お医者さんはいいのですか田中君」

田中「はい。それはもう大丈夫です。それより、休みも給料の安定した公務員などが

やっぱり安心でしょうか?公務員であればゲームをする時間とれますよね?」

先生「まあ、公務員にも色々ありますからね。なるほど、田中君は公務員にもなりた

かったわけですね?」

田中「いや、なりたいというか・・・・」

先生「いいんじゃないですか?休みも給料も安定した公務員。ぼくは応援しますよ!」

田中「そうですよね・・・ありがとうございます」

先生「どうしたのですか?田中君。もっと嬉しそうな顔をしてくださいよ。夢の公務員ですよ?」

田中「・・・・・」

先生「田中君、少しぼくの話を聞いて貰ってもいいですか?君は自分の人生がとてもキ

ラキラした素晴らしいものだということに気づいていますか?そういう人生を送るため

にあなたは生まれて今ここにいるのですよ?」

田中「・・・・・」

先生「人生はね、一本の道のようなものです。歩きやすい道もあれば、歩きにくい砂利

道になることもある。そして分かれ道もあり、どの道を進むのか迷うこともあるでしょ

う。でもね、どの道を進むのかという選択権だけはあなた以外の誰にも譲ってはいけま

せん。それが、親でも尊敬する人でも、大勢の人がこっちだと指さしてもです。あなた

が幸せになる道は、あなた以外誰も知らないことを知っていてもらいたいのです。大人

になってもね、自分が唯一自分を幸せにできる存在であるということに気づかない人は

沢山います。そして、そんな人々は、往々にして「こんな環境でなかったら」「あの人

がもっと理解ある人であれば」「自分にもっと凄い才能があれば」「自分に運があった

ら」など、自分のもっているものには目を向けず、ないものばかりに目を向けていま

す。そんな風に自分を「可哀想な人」に仕立て上げてしまっている人の人生はとても色

褪せてしまう。そんな色褪せた人生を直視できないからこそ、人は娯楽や所有物、もし

くは人からの賞賛に目を逸らしてしまうのではないかとぼくは思っているのです。その

点、自分の幸せを真剣に考えて選んだ人の道は、とてもキラキラ輝き、その人を最高の

ゴールに導いてくれるんですよ。急がなくていいから、自分がどんな道を歩いて行きた

いのか自分の頭でしっかり考えなさい。君なら大丈夫だから。」

田中「先生、最後に一つだけ聞いてもいいですか?幸せの道ってどうやって分るんです

か?」

先生「そんなの簡単です。ワクワクする道に進んだらいいんですよ。本当に大切なのは

“何になるか”ではなく、“どう生きるか”なんです。君らしい生き方をしたら絶対幸せにな

れますよ。自分を信じてください。君は多分どの道に進みたいかもう気づいてるのでは

ないですか?」

田中「・・・・・先生。ぼくの幸せになる道は母さんに反対される道かもしれません。

また相談にのって貰っていいですか?」

先生「いつでもいらっしゃい。君たちの話を聞くことがぼくの楽しみですからね」

田中「ありがとうございます!」

それが少年の道がキラキラ輝きだした瞬間でした。 

少年の選んだその道が、彼の想像を遙かに超えた素晴らしい道になることはまだ誰も知

りません・・・     

                           おしまい

                         

 

 

 

 

 

 

幸せを掴む女②

1話の続きです。

 

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それからとにかく私は婚活励んだ。温かい家庭を築くのが私の夢なのだ。

変な男に騙されている時間などない。

相手が年収に嘘をつけない確実な結婚相談所で必死に探した。

相手が太っていようが、禿げていようが、多少歳が離れていようが、そこにあるはずの

前歯が1本無かろうが、そんなことは全く気にならなかった。

私にとって結婚生活の障害になるものは収入だけだ。

性格の相性なんて今考えたところでどうせ分からない。もし暴力を振るうような男であ

ればその時考えるしかない。

 

そして、婚活を始め2ヶ月が過ぎた頃、私は一人の男性と出逢った。

40歳、バツイチの彼は一見穏やかそうで収入も申し分ない。

「こんな活動しなくても、いくらでもお相手見つかるんじゃないですか?」

私は彼に聞いた。

「どうでしょうか。もしかしたらぼくは相手に癒やしを求め過ぎるのかもしれません」

彼は少し困ったような顔をしながら口角を少し上げて笑った。

自分で言うくらいだ。相当な何かがあるのかもしれない・・・

若干心配しながらも、「大丈夫、問題ない」私は心の中でつぶやいた。

 

それから3年後、街中を歩いていると、奈津子と恵子とばったり出会った。

そういえば、あの居酒屋の時から会ってなかったな・・・いつだったっけ?

若干気まずそうな表情をしながら「あっ、久しぶり・・・」と私に声をかけた二人に、

私は笑って「久しぶりだね。元気?」と返事をした。

私は、二人に対する恨みも、あの時私が発した言葉に対する後悔や気まずさも何も感じ

なかった。それどころかあの惨めな経験にも二人にも感謝していた。周囲から見下れ、

それでも友達という名ばかりのものに執着していた自分。そんな自分にとことん嫌気が

さしたあの経験があったからこそ、私は人への執着を手放すことができた。大切なもの

だけ持とうと決心した私は強く、そして自由になった。

「最近どう?」と聞いてきた奈津子に、私は結婚したことを伝えた。

それを聞いて驚いた恵子は

「え?マジ?金持ちと?」

と興味津々に聞いてくる。

「あははっ!まぁ有り難いことに生活していくお金に不安はないよ。その代わり結構細

かいけどね。掃除もそうだけど、食事の内容やレパートリーや料理を出すタイミング、

あとお風呂沸かすタイミングとかあと相手の行動を制限しない、休みの日も彼がやりた

いことを自由にやらせるとか・・・・後なんだっけ?まぁ色々ね」

それを聞いた恵子は

「・・・・何それ。召使いか奴隷じゃん」

と顔をしかめた。奈津子もドン引きしているのが一目で分かる。

私は二人の反応のストレートさにおかしくなって笑いながら首を横に振った。

「違う違う!勘違いしないで。仲いいんだよ私たち。ほら、私何もパッとするところな

かったから、25歳くらいの時、何か取り柄になるものないのかなぁって悩んでた時期

あって・・・。でね、落とし物で困っている人がいた時に一緒に1時間くらい探したの

かな。その時すっごく感謝されてめっちゃ嬉しかったんだよね。

で、気づいたの。私の取り柄は人を喜ばせたいと思えることなんだって。旦那も凄く喜

んでくれてるし、私もそれが凄く嬉しいの、本当に」

それを聞いた奈津子は、溜め息を漏らして

「やっぱり世の中さ、家事が得意な女が得するようになってるんだよ」

と私に言った。

私はそれに対して「ありがとう」と言って二人と別れた。

正直、私は「家事が得意な女が得をする」なんてこれっぽっちも思っていない。

私は、あくまで温かい家庭をつくるのが夢だった結果、家事が得意になっただけだ。

そして、相手が自分の時間を自由に過ごしたいと望み、それに答えたから彼は一

層私に優しくなり、私の言い分も聞いてくれるようになった。只それだけの話だ。

恵子だって、あれだけお洒落が好きならデザイナーでも目指したらいいのだ。どれだけ

でも感動を味わえるだろうし、人に感動を与えることもできるだろう。それが無理だと

うのなら、努力をする前からその限界を創っているのも自分自身だ。幸せになるか、な

らないかの分かれ道を選んでいるのはいつだって自分自身だ。

私は半年前、不妊症の診断をうけた。私も旦那もお互いの両親も大きなショックを受け

た。私はとても子どもを欲しがっていた旦那に別れてもいいと言ったが、彼は別れない

選択をした。私はとても彼を愛しているので、そう言ってくれた彼に感謝している。

そして、もっともっと幸せにしたいと思った。それでも、いつかまた、彼がやっぱり子

どもが欲しいと願い、私との別れの望むことがあれば私はそれを受け入れるつもりだ。

彼に執着し、彼の幸せを阻むことは私の幸せ道に反する行為だから。

それに、私は信じている。もしそんな辛い経験をしようとも、それを乗り越え、更に私

自身を幸せにする選択をする力が私にはあると。

・・・とまぁ、色々考えたところで、今私が幸せなことには違いない。

仕事を頑張る彼の顔を思い浮かべながら、幸せを噛みしめ大きな声で言った。

「よーし!今日の夕食は何をつくって喜ばせようか!」

                          おしまい。

 

 

 

 

 

 

幸せを掴む女①

とある居酒屋の一室に、35歳を目前に控えた女が3人・・・・。

「あ~どっかにいい男いないかなぁ・・・。結婚はしなくていいんだよ。家事も毎日しなくちゃいけなくなるし。今の仕事で食べていけないこともないしね」

奈津子は艶やかなストレートの髪を指先でいじりながらため息をついた。

色白でシャープな顔立ち、加えてスタイルもよい彼女はそれだけの動作でも様になる。

彼氏はできるが、別れるのも早い。彼女が半年以上付き合った男性は・・・・聞いた話

では見当たらない。

「いないいない!この歳になると本当難しいよ。でも確かに何で私達に彼氏がいないん

だっ!て話しだよねぇ」

恵子はビールを片手に自嘲気味に首を横に振って笑った。

アパレル企業に勤める彼女は特別美人というわけではないが、とてもセンスがいい。メ

イクも髪型も服装も持っている小物に至るまで全てにおいてお洒落なのである。

彼女の口癖は「お洒落にお金使えなくなるくらいなら死んだ方がマシ。ダサい男と付き

合うくらいなら一生独身の方がマシ」である。

「私は絶対結婚するよ。相手は絶対収入が高い人がいいな」

私は言った。あまり仲の良いとは言えない両親に育てられた私は、小さい頃から温かい

家庭をつくるのが夢だった。子どもだってまだ産める年齢だ。収入で結婚相手を選ぶな

んて最低だと思われるかもしれない。収入が原因で結婚を決断できず別れた彼氏もい

る。しかし、両親がお金のことで揉めているのを数多く見てきたせいか、これだけは絶

対譲りたくなかった。

彼女らは嘲るように笑って私に言った。

「冗談でしょ?!そんなこと言ってたらあんた一生結婚できないよ?」

 

私は知っていた。彼女らは私が34歳だからお金持ちと結婚出来ないと言っているので

はない。「何の取り柄もない私がお金持ちと結婚できるわけがない」と言いたいのだ。

私は学生の頃からずっと彼女らと比べられてきた。顔も服装も性格も地味でぽっちゃり

体型の私が何で私がこの華やかな二人と友達なんだと言われたこともある。そんな時、

彼女らは「そんなことないよねぇ」言いながら楽しそうに笑っていた。しかし、私は彼

女らの本心をすでに知っていた。私が近くにいないと思い、二人が私のことを「何の取

り柄もない」と言っているのを偶然聞いてしまったことがあった。

私は、二人の話をひたすら聞きく引き立て役としてそこに存在していた。

私は、今も尚この関係に執着してヘラヘラ笑っている自分にウンザリしていた。

でもそんな自分と決別する。そう決めて今日ここにきたのだ。

私は笑顔で彼女らに質問した。

「何で?何で私がお金持ちと結婚出来ないと思うの?34歳だから?それとも何の取り柄

もない私だから?」

さらに、慌てて何かを言おうとした二人の言葉を遮り

「私もう帰るね。2人とも綺麗だから絶対幸せになれるよ!頑張って」

と言い残し、代金をテーブルに置いて店を出た。

とても清々しい気分だった。

こんなに夜風が気持ちいいと感じたのはいつぶりだろう。

                         2話につづく・・・・

     

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ひとりぽっちのくまのこフータと老いたフクロウの物語②

一話目の続きです。

 

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 「ちょっと待って!ぼくはそんなものが欲しいんじゃないよ。ねぇ、ずっとこのま

まなんて嫌だよ。ぼくはどうしたらいいの?」

するとフクロウはフータにこんな風に尋ねました。

「そうじゃな。おまえさんにもし友達がいたらなんて声をかけるんじゃ?」

フータは憧れのエヴァと友達になったイメージを一生懸命膨らませます。

「え~っと・・・したことないからよく分からないけどまず“おはよう!”って言うん

じゃない?・・・あっ、あとね後ろから“ワッ!!”って驚かせたり、ふざけ合った

り・・・んふふ楽しそうだなぁ」フータの顔はニッコニコでとっても楽しそう。

それを聞いたフクロウはフータにこう言いました。

「そうか、じゃあ明日それをやりなさい」

フータの楽しい気持ちはどこえやら。早速さっき話したことを後悔しはじめました。

「え?何言ってるの?まだ友達じゃないのにそんなのできないよ・・・」

するとフクロウはこう言いました。

「実はわしには未来が見える力があるんじゃ。だからおまえさんが出来ることを知って

いる。おまえさんはしたことがないから“出来ないと勘違いしている”だけなんじゃ。

よーし!今おまえさんの未来をみてやろう。 ・・・よしよし、明日はすでに友達になる

ための行動が達成できておるな。更に先を見てみようかな・・・これはこれは!友達と

じゃれ合って実に楽しそうにしている」

フータはフクロウの“未来が見える”という素敵な話に興味津々!

「それ本当?信じていいの?」

フクロウは胸を張って堂々と答えます。

「わしは生まれてこのかた1回もウソなどついたことはない」

声をかけている未来があると聞いたフータは何だか少しやれる気がしてきました。

「明日ぼくやってみるよ!」

次の日の朝、一大決心をしたフータは何やらブツブツ言いながら家をでました。

「おはよう!・・・おっはよー!・・・やあエヴァ!・・・どんな感じが自然かな。

それと・・・昨日発売のギャンプもう読んだ?ぼく持ってるけど貸そうか?なんて付け

加えたら会話が弾むかもな・・・う~んエヴァが一人だと声かけやすいんだけどなー」

そんなこんなで作戦を練っているととうとう学校に着いてしまいました。

そして丁度靴箱には靴をいれているエヴァの姿があるではありませんか!

「よかったぁエヴァは今一人みたい。早く声をかけないと友達が来ちゃう💦

フータはフゥーと大きく息を吐いてエヴァのもとへ急ぎ足。

エヴァの後ろから勇気を振り絞って声をかけます。

「お・・・おは・・」

練習した言葉を一生懸命口から出そうとしますが、緊張で上手く話せず顔を上げること

もできません。

エヴァは一瞬振り向きましたが、そのまま教室の方に歩いて行ってしまいました。

フータは悲しいやら悔しいやら情けないやらとっても胸が苦しくなりました。

そして、その日一日中「皆に声をかけようとしたことを言いふらされたらどうしよう。

笑われているかもしれない」と沈んだ気持ちで過ごしたのでした。

その夜フクロウが来た途端フータは待っていましたとばかりに怒りをぶつけました。

「やい!この嘘つきフクロウめ!おまえが出来ると言ったからしたのに出来なかった

じゃないか💢上手く話しかけることもできなかったし、これを皆に言いふらされていた

ら最悪だ!!皆に笑われてるかもしれないよ。どうしてくれるんだよ」

フクロウは笑って答えました。

「いや、予定通りじゃよ。誰もおまえさんが、“上手く話しかけれる”なんて言ってはお

らん。実際おまえさんは今日、話しかけるための練習をして、友達の側まで行き、声ま

でかけた。今までこれの1つでもしたことがあったか?それをおまえさんは今日3つもな

しとげたんじゃ。これが達成でなくてなんなのだ。」

フータはフクロウに言われて「初めて出来た」ことが3つもあることに気づきました。

しかしそれでも心のモヤモヤはとれません。

「たしかにそうだけど・・・でも上手くできないなら意味ないよ。その証拠に今日はと

ても憂鬱な気持ちで過ごすことになっちゃったんだから」

するとフクロウは言います。

「おまえさんは今日、“やーい!おまえは挨拶もろくに出来ないのかよ。恥ずかしい奴だ

な”と直接笑われたのか?あと、おまえさんは自転車にのるじゃろ?初めからスイスイ転

ばずに乗れたのか?」

フータは何だかフクロウに怒られているような気分になってきました。声もだんだん小

さくなってしまいます。

「いや・・・言われてないけど・・・自転車も初めは結構転んだかも・・・ねえ、もし

かして怒ってる?」

その様子を見たフクロウは優しい顔でフータに話しかけました。

「いいや、これっぽっちも怒っとらんよ。これと一緒で人の気持ちなんて確認するまで

は殆どがおまえさんの思い込みなんじゃよ。おまえさんが思っているほど周りはおまえさんのことなど気にしていないもんじゃ。思い込みで嫌な気分で過ごすほど無駄なこと

はない」

続けてフクロウは言います。

「おまえさんは自分のことを“できない”と大分勘違いしているみたいじゃから“ぼくは失

敗しても何度もチャレンジして必ず成功する”と毎日鏡に向かって言ってみるといい。そ

して、しっかりその自分をイメージするんじゃ。そして今日したことに毎日チャレンジ

してみなさい。その行動をしておまえさんの望む未来がくることが未来に映し出されておる」

フータはできるかどうか不安でいっぱいでしたが、ひとりぽっちから抜け出すにはやる

しかありません。

「フクロウさん・・・明日も明後日もその次の日も来てくれる?」

不安なフータがフクロウに尋ねると「当たり前じゃ」とフクロウは笑ったのでした。

次の日からフータは毎日毎日「エヴァに声をかける」挑戦をしました。近づくことも出

来ない日があっても、声が小さくて気づかれないことがあっても“ぼくは失敗してもチャ

レンジして必ず成功する”とずっと自分に言い聞かせながら毎日チャレンジし続けました。

そして2週間が過ぎたころ、朝エヴァに声をかけれなかったフータは「お昼ご飯に一緒に食べてもいい?」と言う決心をしました。

そして友達とご飯を食べ始めたエヴァのもとに行き、勇気を出して声をかけました。

「あ・・あの・・・ぼ、ぼくも・・あの・・ご飯・・・」

フータは緊張で声も手も足も震えて上手く話せない自分が情けなくて涙が出そうになり

ました。そしてその時、震えていた手からお弁当箱が床に落ちてしまったのです。

「あ・・・ぼくのお弁当・・・・」

悲しさと情けなさのあまり、とうとうフータの目から涙がこぼれ落ちてしまいました。

それを見たエヴァエヴァの友達は我慢できずに吹き出してこう言いました。

「あっはっは!おまえ弁当くらいで泣くなよ。おれのおかず一個やるよ」

エヴァの友達もみんな一つずつおかずを分けてくれます。

フータはエヴァに聞きました。

「ぼくここでご飯食べてもいいの?」

するとエヴァとその友達は笑って答えます。

「いいんじゃない?」

フータは嬉しくて嬉しくて大きな粒の涙をボトボト床に落としながら泣きました。

それをみてみんなはまた吹き出して大笑い。

「泣くようなことじゃないだろ!おまえ初めて話したけど本当に面白いやつだな」

エヴァがハンカチを貸してくれますがフータは涙が止まりません。

その日の夜、フータはこの出来事を早くフクロウに話したくて仕方ありませんでした。

しかし、夜になってもフクロウは現れませんでした。次の日もその次の日も。

ある日の朝フータが少し寂しい気持ちで登校していると、後ろからエヴァ

「おはよう!フータ。昨日でたギャンプみた?」と話しかけてきました。

フータは振り向き笑顔で答えます。もうフータはひとりぽっちではありませんでした。

フータは心の中でフクロウに「ありがとう」と伝え、たくさん友達のいる学校の方を向

いて歩き出しました。        ☆おしまい☆

 

ひとりぽっちのくまのこフータと老いたフクロウの物語①

くまのこフータはいつもひとりぽっち。

勉強も運動も大の苦手。みんなに笑顔で声をかけることもできないフータには1人もお

友達がいません。

「ぼくもエヴァみたいに勉強も運動もできたら絶対お友達ができるのに・・・」

クラスメイトのエヴァの周りはいつもお友達でいっぱい。ぼくと大違いだ・・・

ある夜、フータがベットの中で横になっていると突然大きな不安が襲ってきました。

「ぼくにはずっとお友達ができないかもしれない。ずっと一人ぽっちだったらどうしよ

う。何か1つでも良いところがあったらお友達ができるのに・・・神様は不公平だ!」

悲しくてポロポロ涙が止まりません。

すると、突然部屋の窓の方から物音がしてフータはビックリして振り向きました。

そこには一羽の老いたフクロウがいてフータに話しかけてきました。

「フォッフォッフォッ!何をとぼけておる。全ておまえさんの願う通りになっとるじゃ

ろうが」

勝手に部屋に入ってきて何て意地悪なことを言うフクロウなんだ💢 フータは怒りで顔

を真っ赤にして叫びました。

「何を言ってるのさ。ひとりぽっちなんてぼくが願うわけないだろ!!!」

ずっと1人で抱えていた寂しい気持ちと不安が大爆発💨

フクロウはそんなフータの怒りを気にする様子もなく尋ねました。

「そうかい。では一体おまえさんは何を願っておるんじゃ?」

「お友達が欲しいってずっとお願いしてるのにぼくには一人もお友達がいない・・・」

それを聞いたフクロウは、優しい顔で頷きながらフータに声をかけました。

「ほう、なるほど。おまえさんがずっと“お友達になって”と言っているのに誰も友達に

なってくれんというわけじゃな?それはさぞ辛かっただろうに」

そんなフクロウの言葉に、フータは“このフクロウはぼくの状況を全く分かっていな

い!”となんだかとても腹が立ってこう言いました。

「簡単に言わないでよ!何にもできないぼくが言ったって断られるに決まってるだろ!

皆の前で断られて恥ずかしい思いするに決まっているのに“お友達になって”なんて言え

るわけないじゃないか!!!💢

フクロウはそんなフータに笑って言いました。

「ほれ、おまえさんの願う通りになっておるじゃないか。おまえさんは“断られたくな

い” “傷つきたくない” “恥をかきたくない”と願っていんじゃろ?実際、おまえさんは

そのための方法を忠実に実行していて断られも傷つきも恥もかいていない」

「・・・・え?」フータは困惑しました。

「もう一度言うぞ。全ておまえさんの願った通りになっとる。これからもずっとおまえ

さんの願い通りになるぞ。よかったじゃないか」

フータの怒りも涙もどこへやら。驚きで口はあんぐり開けっぱなし。

「えぇぇ~!!!そ、そういうこと~?!(゚ロ゚)」

フータは大慌て。一体この先どうなることやら・・・2話につづく

 

 

「ワークエンゲージメント」は会社の為にあるのではない。あなたの幸せの評価に使え!

「エンゲージメント」とは人生や仕事、人、様々な活動との関わりとの深さを表す言葉です。仕事で従業員のメンタル面の健康度を示す概念を「ワークエンゲージメント」と言います。

☆ワークエンゲージメントの定義☆

「仕事に関連するポジティブで充実した心理状態であり、活力、熱意、没頭によって特徴づけられる。エンゲージメントは、特定の対象、出来事、個人、行動などに向けられた一時的な状態ではなく、仕事に向けられた持続的かつ全般的な感情と認知である」

この対極にあるのが「燃え尽き症候群」ですね。

昨年米国のギャラップ社が発表した世界各国の働く人たちの「エンゲージメント調査」の結果では、日本には熱意あふれる社員の割合がたった「6%!」しかおらず調査した139カ国中132位と最下位クラスだったと言われています。また、「周囲に不満をまき散らしている無気力な社員の割合24%」「やる気のない社員の割合70%」に達しているとのこと。えらいこっちゃであります。

ギャラップのジム・クリフトン会長にこれらがどうすれば改善するのかを聞いた際に、「主な原因は上司にある。上司の言ったことを口答えせずに確実にやれば成功するというのが従来のやり方だった。このマインドセットを変えなければいけない」「部下の強みが何かを上司が理解することだ。これまでは弱みを改善することに集中するのが上司の仕事だったが、得意でないことが強みに変わることはない。無気力な社員の半数は自分に合っていない仕事に就いている。合った仕事にかえるだけで無気力な社員を半分に減らせる」と言っておられます。これで米国は熱意ある社員の割合が高まり生産性も上がったのだそうです。

確かに自分の意見を聞いて貰えず抑圧的に関わられたり、苦手な仕事をするのはやる気がなくなりますよね。しかし私はこのワークエンゲージメントを高める目的の一つ「会社の生産性を上げる」ということを一旦棚にあげ、「個人の幸せ」だけに視点を置いてみたときに、「その人の強みを知ること」や「マインドを変えること」が必要なのは、上司というよりもまずは「自分」ではないかと思ったんですね。(上司の立場なら「上司である自分」、部下の立場であれば「部下である自分」)ジム・クリフトン会長の言っている事はあくまで「上に立つ立場の人間としての言い分」であり、これを全員が「そーだそーだ!」と言ってしまうことは「相手(会社や上司)が変わらなければ私は幸せ(やる気)になれません」という事と同じなのではないかとも思うのです。

そもそも、エンゲージメントの活力や熱意や没頭というものは、そこ(仕事)に本来「やってて楽しい」とか「これで貢献したい」があって芽生えるものであり、そこに自分の強みを活かすものだと思うのです。例えば得意な(好きな)スポーツがあり、その関係の仕事に就くにも選手として、コーチとしてまたはそれに使用する道具をつくる職人になるなど様々です。会社の中でもやりたい仕事の中で、リーダーに向いている、補佐役に向いている、細かい作業が得意だ、アイディアを出すのが得意だなど得意な部分を活かしつつお互いの苦手な部分を補い合うといった感じです。全員が「自分の幸せ」の為に意味をもってそこにいて、共通の目標の中で協力しあう。そんな気持ちで働く人が増えてこそワークエンゲージメントは高まるのではないのでしょうか。幸せや充実感を感じるのに「ひとまず生活のためにやっている」「自分を犠牲にしてなんとか頑張っている」「ひとまず時間厳守で帰ることが目標」では実感することは結構難しいように感じます。(自分をそう言い聞かせることはできるでしょうが)

2017年になぜ日本はワークエンゲージメントが低いのかについてウイリス・タワーワトソンの取締役岡田恵子氏は「経営陣のビジョンや理念が社内で共有されておらず従業員の自発性や働く意欲に結びついていないことの表れかもしれません」と述べてあります。失礼を承知で私の意見を述べさせて頂くと、それも一理あるのでしょうが、先ほど同様に根本的な問題はそこではないような気がします。以前私が職場の先輩に看護師の仕事を辞め自分らしく生きることを学び伝えていく仕事がしたいと伝え、その時に思考の現実化についても話もさせてもらったことがあります。その時に言われた言葉が「好きなことで食べていけるならこの仕事みんな辞めてるよ」ということでした。それほど苦しい思いをし頑張っているということでしょうし、全員そんな思いで働いていないとは思いますが、そういう思いを抱えて踏ん張って働いている人も多いんだろうなと感じました。

どれだけ会社が理念やビジョンを伝えようが、やる気になるような研修を行おうが、「給料を貰う」「定年まで働く」が目的であれば、理念やビジョンが分かったところで、研修にき何かの知識を得たとして、仕事にどれほどの熱意がもてるのだろうかと考えてしまいます。もし、職場での研修なども目的が「行けといわれたから」という理由であれば、これほど無駄な時間はないと思うのです。正直、気分転換の散歩でもする方がよっぽど意味のある時間の使い方だと言えます。なぜなら知ったところで重要性も実感してなければ学んだ知識を実体験するまでにも至らない。実体験に至らなければその知識は無知と同じ価値しかありません。私もノルマをこなすように研修に行き、なんとなく理解だけして、後はいつもの業務に追われただ毎日が過ぎていくというのを嫌というほど体験しました。(勿論みんながそうではありません)自分がどういう人間になりたいのか、充実した人生とは何か、きちんとそれに向かって進んでいるのかなど考える暇もなく、ただ老後の安定を目標に、周りの評価を自分の価値の基準として課せられた業務をこなし働き続ける。そんな時ふと「私はこのままで本当に大丈夫なのだろうか」と感じることが度々ありました。そして今年にはいり、もし「老後」がこなかった場合、もしくは今余命を突きつけられた時に「十分に人生を満喫した。思い残すことはない」と言えるだろうかと考えた時にやっと気づくことができました。今のこれは非常にやばい状態であり、一旦立ち止まり人生を見直さなければ後悔する日が確実にくると。あなたはどうでしょうか?もし「余命は1年です」と告知された場合、今選択している人生に後悔はないでしょうか。「余命1年ならこんな生き方してないよ」と言うのであれば、多分それはあなたの人生に必要なものではありません。是非あなたのために一旦立ち止まって「本当にあなたがしたいこと」を考える時間をつくってあげて欲しいのです。なぜならあなたが1年後生きている保証などどこにないからです。最近読んだ日本トランスパーソナル学会会長でもあるカウンセラーの諸富祥彦さんの著書「孤独であるためのレッスン」の中で述べられている帯津三敬病院の帯津良一先生の言葉で「まさにこれだ!」と感じたのが“死を恐れている患者の多くは、実は死ぬことを恐れているわけではない。そうではなく、「自分の人生でやるべきことはやった」という実感を持てないまま死ぬことを恐れているのだ”という言葉です。病気になったらしたいことが全くできなくなるわけではありません。しかし、今のあなたのようにできるかと言ったらできないのです。そしてどんなに願おうが時間は決して戻りませんし、残された時間はあまりにも短い。普段私たちは会社(今の仕事)や人間関係に自分を適応させるために色々悩み頑張っています。そして、自分がまたそのストレス環境に戻ることができるよう、日頃のストレスを物欲やアーティストの追っかけやらテレビやインターネットなどの外側に刺激を求めることで発散させようとします。確かにそれもストレスをためない為には必要なことではあるのですが、それよりも、まず本来自分が何をしたいのか、どう生きたいかの選択をする中に仕事があり、その環境も自己選択していくことができることを忘れないで欲しいのです。私たち(特に日本人は)はどうしても周りの目や評価(反応)を気にしたり、周りと一緒であれば大丈夫だろうと安心したりします。私も小学生の頃から授業中周りが手を上げているのを確認したら、分かってもいないのに自分も手を上げたりしてました(笑)看護師をしていた時も「みんな頑張っている」「みんな同じようなこと考えている」ということで自分を誤魔化していたような気がします。しかし、「こんなはずじゃかかった」という自分の人生と向き合う時人は皆一人なんです。余命宣告とまではいかなくてもリストラされたときでもそうだと思いますし、安定が約束されていると思っていた職業が時代の流れでそうでなくなったときもそうでしょう。だからこそ周囲を気にしている場合ではないのです。まずは一人になる時間をつくり、どんな時に「自分らしさ」を感じるだろう、今の仕事の中でも何をしている時が楽しいと感じているだろう、どんな仕事だったらワクワクするだろう、どんな環境がいいかなど自分の内側に問いかけてみて下さい。結局のところエンゲージメントは自分にしか高められないのです。そしてエンゲージメントを高めることはあなたの幸せに直結します。

あなたの人生のプログラマーも主人公はあなた自身です。目的なく生まれてくる命など一つもありませんし、ましてや老後の安定の為に生まれてくる命も、人や会社に評価されるために生まれてくる命も一つもありません。あなただけにしか描くことのできない人生を生きるためにあなたの命はあります。

今までした全ての経験には意味があります。今辛い状況にある人でも、その状況は「あなたに何かに気づいて欲しくて」もしくは「あなたに必要な何かのために」それはあります。そして、それは確実にあなたの幸せのためにあるものです。その状況で感じるあなたの内側の声に耳を傾けてあなたの本音を頼りにあなたらしい人生を切り開いていって下さい(*´∀`*)

大分長文になってしまいました(^_^;)最後まで読んで頂きありがとうございます!!

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