啓太とサンタの物語①~サンタクロースに教わった大切なこと~
ある年のクリスマス前日の夜
なかなか寝付けない少年が一人
「サンタさん、僕が頼んだカッコいいプラモデルのお願いちゃんと聞いてくれてるか
なぁ・・・んふふっ楽しみだなぁ~」
早く明日になって欲しい少年は
「早く明日になりますよーに!」
と呟いてワクワクしながらベットの中で目を閉じました。
・・・12年後の12月20日の夜
「あ~もう!これからどうすんの俺・・・」
17歳になった少年、佐々木啓太はベットの上に寝転がって途方に暮れていました。
周りの友達には、目指すものがちゃんとあるのに啓太には何もありません。
将来何がしたいのか全く分からない啓太は、家の天井に向かって投げやりな気持ちに
なって叫びました。
「神さま~俺は何になったら幸せになれますか~!!」
「もうお腹いっぱい・・・もう食べれないってば~」
その夜、啓太はと~っても美味しい夢を見てました。
すると・・・
「ちょっといつまで寝てるんですか!!到着しましたよ!」
急に大きな声で起こされます。
「うっわ!!・・・えっ何?!」
驚いて飛び起きた、その先にいたのは・・・・
ん?サンタクロース??
さらに周りを見渡すと、
壮大に広がる丘、カラフルな色をしたたくさんの花と緑
空には虹がかかってキラキラと輝き
心地よい鳥のさえずり
見たことも無いような美しい蝶々がひらひら舞っている・・・
そこはまるで、絵本にでてくるおとぎの国のよう。
啓太があまりの美しさに呆けていると、
「さっ!こちらですよ」
と、そのサンタは啓太の後方をさして言いました。
そこには、と~っても立派なお屋敷がドドーン!!とそびえ立っています。
「・・・ちょっと俺、よく分からないんですけど、色々聞きたいことが・・・」
すると、サンタは真面目な顔をしてこう言いました。
「今はそんな事どうでもいい!ほら、こっちだよ」
サンタは、啓太の腕をぐいぐい引っ張りながら屋敷の中へと連れて行き、ある部屋のド
アの前で止まると、トントンとドアを叩き
「社長~バイトを連れてきました」
と言うではないですか。
・・・・ん?バイト?
すると、
「どうぞ、入りなさい」
と、部屋の中から年老いた優しい男の声がします。
ドアを開け、部屋の中に入ると・・・・30畳くらいの広々とした空間にクラシカルでと
ても素敵なインテリア。啓太は慣れない場所に連れてこられ、ソワソワ落ち着きまん。
すると、パソコンで何やら作業をしていたらしい老いたサンタは顔をクイッと上げ啓太
を見てにっこりと微笑みました。
「啓太くん、初めまして。株式会社ギフトのサンタクロースです。どうぞよろしく」
椅子から立ち上がり手を伸ばしてきたサンタに、啓太は恐縮しながら
「ど、どうも。佐々木啓太です」
と握手をしながらペコッとお辞儀をしました。
「で、バイトの事なんだけどね・・・」
と話し始めたサンタに、啓太は慌てて断ります。
「ちょっ、ちょっと待ってください!俺いきなりここに連れてこられて、バイトするな
んて言ってないんですけど💦」
するとサンタクロースはちょっと驚いた顔をして言いました。
「あれ、そうだったの?時給2000円、5時間で休憩とデザート付きのなかなかいいバイ
トだと思ったんだけど、ざんね・・・」
啓太は、またもや慌てて、
「いや~丁度バイトを探していたところなんですよ。宜しくお願いします!」
とサンタクロースが話し終わらないうちににっこり笑って言ったのでした。
さてさて、いきなり連れてこられた夢の国。啓太は一体ここで何を学ぶのでしょうか・・・・ つづく。