啓太とサンタの物語②~サンタクロースに教わった大切なこと~
一話目の続きです。
さてさて、クリスマスを五日後に控え、他のサンタは準備に追われて大忙し💨
啓太を連れてきたサンタが啓太に自己紹介しました。
「ぼくは、水玉サンタ。だから水玉の服を着てる。あの子はハートサンタで、あのでか
いのはメガサンタ・・・まあ、何となく見た目で分かるけど、分からなかったここに名
前ついてるから」
と右胸のポッケを指さして教えてくれました。
「あと、仕事だけどね、みんながプレゼントを配る地域によって担当が分かれてるん
だ。で、その担当ごとのプレゼントの配置場所があるから、みんながラッピングしたプ
レゼントをその配置場所に並べてって欲しいんだ。例えばハートサンタがラッピングし
た荷物はあそこのハートマークがついた場所に荷物を並べるって感じにね。間違えない
ように頼むよ」
簡単な仕事ですが、なんといっても膨大な量のクリスマスプレゼント。
啓太はあっちに行ったり、こっちに行ったり、運んでも運んでも終わりません。
ふと啓太は、疲れた足を止めて、サンタの仕事も大変だなぁ~と溜め息つきながら、労
いの目でチラリとサンタ達の方を見ました。
ところが、当のサンタ達は、山のようにあるプレゼントを一つ一つ慣れた手つきで楽し
そうにラッピングしていて、そこには全く「大変さ」は感じられません。
「お疲れ様。もう今日はここまでで大丈夫だよ。大変だっただろう?」
水玉サンタが啓太をソファーに促し、テーブルにジュースとケーキ置いて言いました。
啓太はお礼を言いながら、気になっていたことをいくつか水玉サンタに質問しました。
「ねぇ、12月なのにここは冬じゃないの?」
すると水玉サンタは答えました。
「ここはクリスマスの国だからね。プレゼントが雪や雨で汚れちゃ困るだろ?」
「へぇ~?!すごいね。じゃあさ、みんなクリスマスの時期以外は何してるの?」
「そうだね、次のクリスマスプレゼントの構想練ったり、好きなことをそれぞれのサン
タがしてるよ。ヨガだったり、旅行だったり、本や絵を書いたり、料理したり・・・。
好きなことしただけ、豊かになるから生活に困ることがないんだよね」
「えぇ~何それ?!好きなことだけして過ごしてるの?何してもいいの?漫画読んで過
ごしても、カッコいい車に乗ってどこかにドライブ行ったり、海外旅行とかでも?」
驚いて啓太が聞くと、水玉サンタは笑って言います。
「うん。何してもいいよ(笑)だから僕たちは、ある意味毎日遊んでいるみたいなものか
もね。でもね、ただ遊ぶじゃないよ。一生懸命遊ぶんだ!」
「ん?それ普通に遊ぶのとどう違うの?」
「例えば、旅行が好きならとことんその旅行を楽しめる情報を沢山調べて、とことんそ
の旅行を楽しむんだ。本好きのサンタはずっと本ばかり読んでたけど、ついには自分で
書き出しだしたり」
水玉サンタは楽しそうに話します。
「え~?!なんかずるい!!好きなことして豊かな生活なんて!」
なんて人生は不公平なんだ!と納得のいかない啓太でした・・・・ つづく