啓太とサンタの物語④~サンタクロースに教わった大切なこと~
前回の続きです!
啓太はサンタクロースの言葉を信じることができません。啓太にとってここで過ごた時
間は大切な宝物になっていました。“じゃあ皆も本当は存在しないってこと?そんなの嘘
だ!”それに、水玉サンタは、ここで好きなことして過ごすほど豊かになるって言ってい
たはずです。啓太は、心に重りを乗せたような気分になりながら、サンタクロースに尋
ねました。
「水玉サンタが俺に話したことは嘘なんですか?・・・俺信じてたのに・・・」
するとサンタクロースは優しい声でその疑問に答えました。
「嘘じゃないよ。みんな自体は実在する人間だし、本当に好きなことをして過ごしてい
る。その好きなことで、誰かの力になったり、感動や喜びを与えることができると信じ
てそれを仕事にして一生懸命楽しんでいるんだよ。それに豊かさがついてきているだけ
なんだ。」
皆は実在する人たちで、好きなことを仕事にして、成功し豊かになっている・・・・
啓太はがっかりしました。皆は特別な才能をもった人達だったのです。
啓太の表情から何を考えているのか察したサンタクロースは啓太に尋ねました。
「啓太君。君は幸せや豊かさってなんだと思う?」
啓太は自信をもって答えます。
「成功者になることです!成功したらお金もいっぱい入るし豊かになれます」
啓太は、こう思っていました。何だかんだ言っても、お金があるから自由でいられ、お
金があるから好きなことができる、お金があればどんな贅沢もできるし、周囲からも羨
望の眼差しで見られるだろう。それなら幸せなはずだ。
サンタクロースはさらに尋ねます。
「なるほど。ではどうやって成功者になったと分かるんだい?」
啓太はちょっと考えて言いました。
「お金を好きなだけ使えるようになれば成功者です。そうなったら、きっとみんなも“あ
の人は成功者だ”って言うでしょうね」
すると、サンタクロースはいたずらっ子のような表情になって啓太に尋ねました。
「なるほどね~。じゃあひょっとして君は僕からのプレゼントを“な~んだ!何か凄い物
が貰えると思ったのに”ってちょっとガッカリしたんじゃないの?」
啓太は、図星をつかれ、気まずそうに笑いながら、小さな声で答えます。
「・・・・いや~なんか凄いものが貰えるのかなって。クリスマスだし」
サンタクロースは、啓太の素直な反応に「あっはっは!」大きな声で笑いました。
「いいんだよ。ちょっと意地悪だったね(笑)大丈夫。君と同じ体験をしたら、大多数
の人が君と同じ反応をすると思うよ」
サンタクロースは、笑い終えると、今度は優しい校長先生のような穏やかな口調でゆっ
くりと話し始めました。
「啓太君、僕もお金は人を幸せにする“道具”になると思う。でも、決してお金自体が人
を幸せにするわけではないと思うんだ。自分や人々に幸せを与えた結果としてお金が
入ってくる。そのお金を、更に自分や他者を幸せに導く道具として使う。するとさらに
幸せは広がっていく。僕の言ってることは分かりづらいかな?」
サンタクロースは、首を傾げながら話を聞いている啓太に聞きました。
「ええっと・・・“人生とは1枚の絵だ”という言葉を聞いたことがあります。人生が絵
ならお金は筆といった感じですか?筆の使い方が大事みたいな・・・」
啓太が答えると、サンタクロースは嬉しそうに言いました。
「君は賢いね。その通りだよ。じゃあちょっと幸せについて話そうか」
そうして、サンタクロースは語りはじめました。 つづく