啓太とサンタの物語③~サンタクロースに教わった大切なこと~

 前回の続きです。

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 次の日も、その次の日も啓太とサンタたちはプレゼントの準備に励みました。

そして、ついにクリスマス前日の夜🎄

「さぁ!今日が本番です。みなさん、楽しんで喜びを運びましょう」

社長であるサンタクロース声を合図に、みんな一斉にソリに乗って出発進行!

サンタ達の表情は、笑顔でキラキラ✨輝いています。

啓太が羨ましそうにサンタ達を見ていると、水玉サンタが声をかけてきました。

「啓太も僕と一緒にプレゼント運ぶ??」

その言葉に啓太は大喜び。

「いいの?!」

啓太は水玉サンタと一緒にソリに乗って、夜空へ向かって出発しました。

そして、水玉サンタが教える通りに、次々にプレゼントを子供たちの枕元にそっと置い

ていきます。

プレゼントを配り終えた後も、啓太は興奮が冷めない様子。

「あ~楽しかった!!みんな喜んでくれるといいね」

水玉サンタはにっこり笑って啓太に言いました。

「明日いいものが見れるよ。楽しみにしといて」

 

翌日、すべてのサンタがある部屋に集まっていました。

集まったサンタたちは、みんなワクワク顔で楽しそうにおしゃべりしています。

なんといっても今日はクリスマス。啓太は、もしや・・・と思い、水玉サンタに尋ねました。

「ねぇ水玉サンタ。もしかして、俺たちも何かプレゼントがもらえるの?」

すると水玉サンタは、優しい表情で大きく頷いて答えました。

「そうだよ。僕たちは今から最高のプレゼントを受け取るんだ」

それを聞いた啓太の胸は期待で大きく膨らみます。

“どんな素晴らしいプレゼントなんだろう・・・・みんながこれだけ喜んでるんだから

きっと驚くような物がもらえるんだろうな”

そんなことを考えていると、サンタクロースの声が聞こえました。

気づけば、みんなの前に、サンタクロースが嬉しそうな顔をして立っています。

「皆さんお疲れさまでした。皆さんの協力があって、たくさんの人を喜ばせることがで

 きました。みなさんと共に、豊かな時間を過ごせたことを感謝します。ありがとう」

そう言って頭を下げたサンタクロースに、そこにいるサンタ全員が大きな拍手をしまし

た。“僕もなんだかサンタの一員になったみたいだ”啓太はそう思い、なんだか誇らしい

気持ちになって一緒に拍手をしました。

すると、何やらサンタクロースの後ろに大きなスクリーンが下りてきます。

「さあ!皆さんへのプレゼントです。どうぞ受け取ってください」

サンタクロースがそう言ってスクリーンに映し出されたものは・・・・

 

プレゼントを見つけた瞬間、子どもたちがした驚きと喜びの混じり合ったような姿

プレゼントを開ける子どもたちの期待に満ち溢れたワクワクした顔

プレゼントを持って、喜びを伝えるために家族のもとへ駆けてく子どもたち

子どもの喜ぶ姿を見て、幸せそうな顔になる周囲の大人たち

楽しそうにプレゼントで遊ぶ子どもたち

 

啓太も他のサンタたちもとても温かい気持ちになりました。

その部屋全体が、幸せに包まれているような気がして、“ずっとここにいれたらいいの

に”と啓太は思ったのでした。

すべての映像が終わると、サンタたちは「また来年!」と言いながら次々に帰ってい

きます。啓太は慌てて水玉サンタに聞きました。

「もしかして本当にこれだけなの?何か貰えるんじゃないの?」

水玉サンタは、啓太の言葉に、「そういうと思った!」と大笑い。

「これが最高のプレゼントだよ啓太。いつか啓太にもわかる時がくるはずだよ。

 じゃあ社長のところに最後の挨拶に行こうか」

水玉サンタはそう言い、啓太をサンタクロースの部屋まで連れて行きました。

サンタクロースの部屋の前に着くと、水玉サンタは、手を差し出して啓太に握手を求め

ました。そして笑顔で啓太に言いました。

「今日までありがとう啓太。一緒に働けてとても楽しかったよ!今回はここでさよなら

 だ。またね!」

水玉サンタが去った後、啓太はとっても寂しい気持ちに包まれました。

“みんなともっと一緒に過ごせたらいいのに・・・”

啓太は、サンタクロースの部屋に入ると、「仕事をしてみてどうだったかな?」と聞い

てきたサンタクロースに自分の思いを伝えました。

「俺はずっとここで働きたいです。水玉サンタからクリスマスの時期以外はみんな好

 きなことをして過ごしていると聞きました。そして、好きなことをすればするほど豊

 かに過ごせるって。ここは夢のようなところです。俺もここで働けたら幸せになれる

 と思うんです」

すると、サンタクロースはちょっと残念な顔をして啓太に言いました。

「啓太くん。残念ながらずっとここで働くのは無理なんだ。ここはクリスマスの国。

 この時期にしか存在しない本当の夢の国なんだよ」

・・・・本当の夢の国?

頭の整理がつかない啓太を残して次回につづく!